「数字を見ているのに成果が出ない」原因
GA4を使いこなしていても思うように改善が進まないことがあります。その原因の多くは数字の読み間違いにあります。エンゲージメント率が高い=良いサイト、直帰率が低い=満足度が高い、コンバージョンが増えた=施策が成功といった誤解に注意が必要です。
落とし穴①:「数値が上がった=良い結果」とは限らない
GA4ではユーザー数やセッション数などたくさんの数値が見られますが、数値が上がること=成果が上がることではありません。SNSでバズって一時的にアクセスが増えたり、広告を出したことでセッションが増えたりしても目的であるコンバージョンや滞在の質が上がっていなければ成果とは言えません。数字を見るときはなぜ増えたのか、その増加は望ましいのかを考えましょう。
落とし穴②:「直帰率」や「エンゲージメント率」を単独で判断する
UA時代から使われてきた直帰率はGA4ではエンゲージメントのないセッションを指すように変わりました。単に1ページだけ見た=悪いではなく、ページの目的によって評価は異なります。アクセス方法や営業時間ページを見てすぐ離脱するのは問題ありませんが、サービス紹介ページを見てすぐ離脱するのは改善が必要です。エンゲージメント率も高ければ良いとは限らず、ページの種類によって適切な数値は異なります。
落とし穴③:「平均値」で判断しない
GA4のレポートでは平均滞在時間や平均エンゲージメント時間など平均値が多く使われていますが、平均値は極端な値に引っ張られるため全体像を正しく表していないことがあります。例えばほとんどの人が30秒しか滞在していないのに一部のユーザーが10分見たことで平均が1分になるなどです。改善を考えるときはセグメントで分けて見ることが大切です。
落とし穴④:「一時的な変化」に惑わされる
GA4の数字は曜日や季節、キャンペーンなどの要因で日々変動します。短期間だけを見て成果が下がった、施策が失敗したと判断するのは危険です。期間を広く取って前月や前年同月と比較し、祝日や広告配信の影響を考慮するなどトレンドで判断することが重要です。
落とし穴⑤:「数字だけ」で判断する
最大の誤解は数字がすべてを語ると思ってしまうことです。数字は結果を表しているに過ぎず、その背景には必ず人の行動や意図があります。滞在時間が短いのは知りたい情報がすぐ見つかったからかもしれず、コンバージョン率が下がったのはターゲットが広がったからかもしれません。データを読むとは数字ではなく人を読むことです。
誤解を防ぐための3つのチェックリスト
分析を行うときは比較して見ているか、目的を基準に判断しているか、数字の裏にある行動を想像しているかの3つを確認しましょう。この3つを意識するだけで分析の精度は格段に上がります。
まとめ:数字の正解は「見る人」が決める
GA4は便利なツールですが数字をどう解釈するかは見る人の思考次第です。大切なのは問いを立てる力と人を想像する力。数字を疑い、文脈を読み、仮説を立てる積み重ねが真の分析力につながります。
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